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海外消防情報センター

世界の主な火災・自然災害

2024年 世界の主な自然災害 2025年 4月公開 (和文:4.5MB)
2024年 世界の大規模火災
「月刊フェスク」2025年2月号掲載
2025年 2月公開 (和文:8.7MB)
2023年 世界の主な自然災害 2024年 3月公開 (和文:2.9MB)
2023年 世界の大規模火災
「月刊フェスク」2024年2月号掲載
2024年 2月公開 (和文:4.2MB)
トルコ共和国地震災害に対する国際消防救助隊の活動概要
(消防の動き '23年4月号 P4~P6)
Overview of the activities of the International Fire and Rescue Team for the earthquake disaster in the Republic of Turkey
2023年 6月公開 (和文:2.5MB)
(英文:2.6MB)
2022年 世界の大規模火災
「月刊フェスク」2023年2月号掲載
2023年 4月公開 (和文:7.2MB)
2022年 世界の主な自然災害 2023年 4月公開 (和文:2.2MB)
2021年 世界の大規模火災
「月刊フェスク」2022年1月号掲載(増補版)
2022年 2月公開 (和文:2.1MB)
2021年 世界の自然災害
「月刊フェスク」2022年1月号掲載(増補版)
2022年 2月公開 (和文:2.4MB)
2020年 世界の大規模火災・自然災害
「月刊フェスク」2021年1月号掲載
2021年 2月公開 (和文:1.0MB)
2019年 世界の大規模火災 ・・・今年もまた
「月刊フェスク」2020年1月号掲載
2020年 7月公開 (和文:1.1MB)
2018年の世界の大規模火災
「月刊フェスク」2019年1月号掲載
2019年 2月公開 (和文:1.5MB)
世界の主な大規模火災 2018年 5月更新 (和文:1.6MB)
世界の主な自然災害 2018年 5月更新 (和文:1.6MB)
最近の主な火災
≪最近の世界の主な大規模火災等(2025年6月~9月)≫ 海外消防情報センター
 本資料は、2025年において世界各地で発生した主要な建物火災・爆発事故について、通信社等の報道記事をもとに、6月から9月までの火災等につき、可能な場合には火災発生の原因や当局の対応なども含めて整理したものである。
2025年6月1日(日)
メキシコ 6月1日(日)、メキシコのグアナファト州にある薬物依存症患者のリハビリセンターで火災が発生し、12人が死亡、少なくとも3人が負傷した。火災の犠牲者は、建物のドアが施錠されていたため、センター内に閉じ込められていたとの報道もある。出火原因は捜査中だが、メキシコでは、過去、麻薬カルテルが依存者を組織に引き入れることを目的として、同じような施設がしばしば襲撃の標的とされてきた。
2025年6月16日(月)
中国 6月16日(月)、中国湖南省の花火製造工場で爆発事故があり、9人が死亡、26人が負傷した。爆発は、火薬を詰める作業中に発生した。湖南省は中国有数の花火生産地で、この工場では約150人が働いているが、爆発事故当時には大半の従業員は現場にいなかったという。
2025年6月~7月
トルコ 6月22日(日)、トルコ西部エスキシェヒル県で発生した山林火災で、消火活動中だった消防士5人を含む10人が炎に囲まれて死亡し、他に少なくとも14人が負傷して病院に搬送された。ユマクル農業・森林相によると、ヘリコプターなどで夜通し消火活動を行っていたところ、突然風向きが変わり、活動中の20人以上が炎に囲まれたという。今年、7月24日までに強風や高温、乾燥した気候の中で発生した山火事による死者数は13人となった。
トルコでは、毎年のように夏になると各地で山林火災が相次いで発生しているが、6月以降7月末までに10カ所以上で森林火災が起きており、災害緊急事態対策庁の発表では、イズミルの42,000人以上を含め、5つの地域で50,000人以上が避難している。また、世界森林火災情報システム(JRC GWIS)によると、7月24日までに6,750ヘクタール以上を焼失したという。
2025年6月30日(月)
インド 6月30日(月)、インド・サンガレディ県パシャミララムの化学工場の原子炉ユニットが入っている建物で大規模な爆発があり、火災が発生して46人が死亡、行方不明8人、33人が負傷(7月18日現在)する惨事となった。
この事故は、インドのテランガーナ州にあるシガチ・インダストリーズ・リミテッド社の工場で発生した。この工場は、医薬品の製造に使用される化合物である微結晶セルロースを生産しており、スプレードライヤーが医薬品製造用の原料を微粉末に加工するために使用されていたが、午前9時頃(インド標準時)に爆発し、建物が完全に崩壊して近隣の建物にも深刻な被害をもたらした。爆発は勤務時間中に発生し、当時、建物内には140人以上がいたという。
2025年7月13日(日)
米国 7月13日(日)、米国・マサチューセッツ州の介護施設ガブリエル・ハウスで火災が発生し、駆けつけた消防隊員が消火に、警察官らが救助活動に当たったが、炎上する建物内に閉じ込められた10人が死亡、30人以上が負傷した。
この介護施設は高齢者が支援を受けながら自立した生活を送るための施設で、火災当時はおよそ70人が入居し、中には一人では歩けない人もいたという。報道によれば、この介護施設の安全対策や人員配置に問題がなかったか、また消防の体制に不備がなかったか、疑問の声も上がっているという。
2025年7月16日(水)
イラク 7月16日(水)夜、イラク南部ワシト州クート町にあるショッピング・モールで大規模な火災が発生した。火は数時間にわたって燃え続け、少なくとも69人が死亡、11人が行方不明となっている。当局によると、犠牲者の大半は上層階に閉じ込められていたという。
このショッピング・モールは、レストランやショップ、スーパーマーケットが入った5階建ての建物で、数日前にオープンしたばかりだった。当局によると、火災は、香水や化粧品を販売する2階のエリアから出火したが、原因は調査中とのことである。一部報道によれば、イラクでは、建築基準の規制が厳しくないこともあって大規模火災がたびたび発生しているという。
2025年7月24日(木)
シリア 7月24日(木)、シリア人権監視団(SPHR)からの情報として、シリア北西部のイドリブ州にあるマーラト・ミスリン町付近にある武器・弾薬庫で複数回の爆発があり、女性と子供を含む少なくとも12人が死亡し、100人以上が負傷したと伝えた。また、爆発によって激しい火災、濃い黒煙が一帯を包み込み、一般の家屋、車両や近辺のインフラが被害を受けたという。
この武器弾薬庫は、トルキスタン・イスラム党(TIP。シリア内戦に参加したウイグル人戦闘員で構成され、この地域で活動)が所有しているもので、解体作業中に爆発が起きたとの見方が報じられている。爆発の原因は調査中で、空爆や外国の関与は公式には確認されていない。
2025年8月15日(金)
ロシア 8月15日(金)、ロシア・モスクワ南東250kmのリャザニ州にある火薬製造工場で爆発を伴う火災が発生し、地元当局は、19日(月)までに24人が死亡、少なくとも157人が負傷したと発表した。マルコフ・同州知事は、「工場の作業場内で発生した火災が爆発の引き金になった」としているが、火災の発生原因は明らかになっていない。なお、同州ではウクライナ軍の無人機攻撃が相次いでいるが、今回の火災が攻撃によるものとの情報は確認されていない。
2025年8月20日(水)
アフガニスタン 8月19日(火)、アフガニスタン西部ヘラート州の州都ヘラート市郊外グザラ地区で、バスがトラックとオートバイに衝突し、うちトラックには燃料が積載されていたことから火災が発生、子供19人を含む少なくとも79人が死亡し、2人が負傷した。最近、過去数十年にわたってアフガン人移民を受け入れてきたイランとパキスタンの両国から多くの移民が強制送還されており、事故にあったバスにもイランから強制送還された多くのアフガン人移民が乗っていた。
アフガニスタンでは交通事故が多発しているが、その原因として、数十年にわたる紛争による道路状況の悪化、高速道路での危険運転、そして規制の欠如などが挙げられている。
2025年9月10日(水)
メキシコ 9月10日(水)、メキシコの首都メキシコシティで、プロパンガスを積んだタンクローリーが横転して爆発、合わせて28台の車両が焼失し、4人が死亡、90人が負傷した。タンクローリーには49,000リットル以上のプロパンガスが積まれていたという。
2025年9月11日(木)
コンゴ 9月11日(木)、コンゴ川で乗客約500人を乗せた船が火災を起こして転覆し、107人が死亡、146人が行方不明になった。10日にも別の船が転覆して86人が亡くなった。乗客の大半は学生で、過積載や夜間の航行が原因とみられている。道路などインフラ整備が遅れているコンゴでは、船が主要な交通手段となっているが、定員超過や整備不良に起因する船舶事故が後を絶たず、政府の対策が問われている。
2025年9月14日(日)
リビア 国連国際移住機関(IOM)によれば、9月14日(日)、北アフリカのリビア沖海上でスーダンの難民約75人を乗せた船が炎上し、少なくとも50人が死亡した。2011年にカダフィ政権が崩壊して以降、リビア沖はサハラ以南アフリカや中東出身の難民(44カ国出身の移民約86万7,000人が滞在していると言われる)が地中海を渡って欧州に向かう主要ルートとなっており、多くが不法密航や劣悪なボートを使った危険な渡航を試みるものとなっている。


(注)取り上げた火災等は、死者・行方不明者数おおむね10人以上をめやすとしており、ウクライナ侵攻・中東紛争や戦闘・
   テロ関連事案は除外している。死者・負傷者数は、当局からの情報等をもとに報道された内容によるもので最終確定値
   ではない。
最近の主な自然災害
≪最近の世界の主な自然災害(2025年6月~9月)≫ 海外消防情報センター
 本資料は、2025年において世界各地で発生した主要・特徴的な自然災害について、国連機関(UNDRR、OCHA)や通信社等の報道記事をもとに、6月から9月までの災害につき、可能な場合には災害発生の原因や当局の対応なども含めて整理したものである。
  なお、この時期は南アジアではモンスーンの季節に当たり、ヒマラヤ山脈の南側(ネパールからインド、パキスタンにわたる広い地域)の各地で、モンスーンによる豪雨を引き金として、鉄砲水や土石流、土砂崩れ、洪水などが連続して、又は断続的に発生し、甚大な被害をもたらした。例えばパキスタン(同国が支配するカシミール地域を含む)では、6月26日から8月17日までの間に657人が死亡、929人が負傷し、2,462棟の家屋が全部又は一部損壊している。インド(同国が支配するカシミール地域を含む)では、数週間の間に少なくとも90人が死亡し、数十万人が避難を余儀なくされたと発表されている。また、ネパールでも、少なくとも41人が死亡し、121人が負傷したと報じられている。以下では、6月~9月の間にこの地域で発生した災害のうち、主なもののみを紹介している。
2025年6月9日(月)
インド インド北東部全域で記録的な豪雨によって洪水や土砂崩れが発生し、アッサム州、マニプール州、ミゾラム州など7つの州で少なくとも46人が死亡した。また、多くの村が水没し、道路が寸断されたほか、多くの住民が避難を余儀なくされた。
2025年6月26日(木)~8月6日(水)
パキスタン 6月26日(木)以降、パキスタン(同国が支配するカシミール地域を含む)では、首都イスラマバードや近郊ラワルピンディを含む各地で、豪雨やそれに伴う洪水や土石流、河川の氾濫が頻発し、8月6日までの累計で303人が死亡、727人が負傷、全壊した家屋が566棟、一部が損壊した家屋が1,127棟に上る甚大な被害をもたらした。犠牲者の多くは家屋の倒壊に巻き込まれたもので、中には水死、感電死したケース、バスに乗っていて激流に流された観光客なども見られた。また、8月4日には排水路の復旧工事に当たっていたボランティア7人が再び発生した土砂崩れに襲われて亡くなるという二次災害も起きている。
パキスタンでは例年を上回る高温が激しい降雨をもたらし、これによって各地で土石流が発生。建物の倒壊に巻き込まれるなどして多くの犠牲者を出すことになった。パキスタンの人々の多くは洪水が発生しやすい地域に居住していると言われており、専門家は、「洪水に強い住宅を建設したり、浸水の危険のある地域での住宅建設を避けたりする必要がある」と述べている。
2025年7月4日(金)
米国 7月4日(金・米独立記念日)未明、米国・テキサス州中部で集中豪雨があり、特にカー郡ではグアダルーペ川の水位が急激に上昇して堤防が決壊し、大規模な洪水が発生した。州議会での報告によると、州全体の死者は、河畔でのサマーキャンプに参加していた少女らを含む136人に上り、2人が行方不明となった。
今回の惨事では、複数の防災責任者が病欠や休暇のため当初不在だったほか、避難指示が的確に伝わらないなど、対応の不備が指摘された。州では、こうした指摘を受け、9月5日(金)、水害多発地域で洪水警報を伝達するサイレンの設置を義務づける法律やキャンプ場での事故再発防止に重点を置いた法律を制定するとともに、サイレンを設置する自治体を助成することとした。
2025年7月17日(木)~
フィリピン 7月17日(木)からの数日間、フィリピンは3つの台風と南西モンスーンの複合影響による大雨に見舞われた。8月6日(水)現在、死者40人、行方不明者8人、負傷者33人、また、全壊家屋8,466棟、一部損壊家屋64,593棟に上っている。
2025年7月18日(金)~
ベトナム 7月18日(金)から20日(日)にかけて、ベトナム北東部(特にトンキン湾のハロン湾地域)では、台風の影響で大雨、強風、高潮、雷雨に見舞われた。この大雨により、19日午後(現地時間)にはハロン湾周辺でボートの転覆事故が発生し、死者38人、行方不明者7人を出す惨事となった。
2025年7月28日(月)
中国 7月28日(月)、中国・北京を中心に、数日間にわたる豪雨により2012年以来最悪となる洪水が発生し、少なくとも44人が死亡、9人が行方不明となっている。北京市北西部郊外の密雲区にある高齢者施設では、急な増水によって逃げ遅れた31人が死亡したほか、河北省の川沿いの保養施設では、増水した河川から3人の遺体が発見され、4人が行方不明になるなど、各地で大きな被害を受けた。
地元当局は異常気象への対応計画に不備があったことを認め、老朽化した治水施設の強化、予報精度の向上、避難計画の見直しなどを急いでいる。
2025年8月5日(火)
インド 8月5日(火)、インド北部ヒマラヤ地方に位置するウッタラーカンド州で、集中豪雨により鉄砲水や土石流が発生、山々の間を流れ落ちて同州のダラリ村に奔流となって押し寄せ、少なくとも5人が死亡し、50人以上が行方不明(8月9日現在)となる惨事となった。報道によると、土石流は村の建物や道路を直撃し、集落が一瞬にして濁流に吞み込まれたという。地元の救助隊やインド軍が懸命な捜索活動を行い、数十名が救助されたが、悪天候に加えて峻険な地形、道路の損傷などで活動は困難を極めており、死者数は最終的には70人以上に上るものと見られている。
この惨事は、直接には激しい集中豪雨によってもたらされたものであるが、一部の専門家は、「地球の温暖化によって氷河が急速に融解してできた湖(氷河湖)をせき止めていた瓦礫が、集中豪雨を引き金として崩壊したことが根本的な原因ではないか」としている。
2025年8月8日(金)
中国 8月8日(金)、中国北西部甘粛省蘭州市で、7日から8日にかけて激しい雨が降って土石流が発生し、9日までに15人が死亡、28人が行方不明となるなど、大きな被害を出した。また、同日現在、15人が負傷し、9,828人が避難している。地元当局は、現地に2,700人以上の救援要員や980台の車両を投入し、行方不明者の捜索や被災した住民の救援活動を行っている。
中国北部は、元来降雨量が少ない地域だが、今年は7月以降、亜熱帯高気圧の縁から流入する暖かく湿った大気の影響で歴史的な大雨が続いており、各地で被害が続出している。
2025年8月14日(木)
インド(カシミール) 8月14日(木)、インドが支配するカシミール地域で豪雨による大規模な土石流がヒンドゥー教の聖地チャショッティ村を襲い、巡礼者のために設置されたコミュニティキッチンや多くの家屋、更に数十台の車両、バイクなどを押し流して、巡礼者など少なくとも60人が死亡したほか、200人以上が行方不明になった。17日には、別の地域で鉄砲水と土砂崩れが発生し、少なくとも7人が死亡したほか、幹線道路や警察署なども被害を受けたという。
2025年8月15日(金)
パキスタン(カシミール) 8月15日(金)、前日からインドが支配するカシミール地域で激しくなった雨が、パキスタンの支配するカシミール地域やパキスタン北西部に広がり、複数の箇所で鉄砲水、洪水が発生して大きな被害をもたらした。8月7日から17日までの累計で、354人が死亡し、202人が負傷、建物の全壊が212棟、一部損壊が557棟に上っているほか、道路も寸断され、通信網もズタズタになった。また、報道によれば、25万人が避難、120万人が被災したと伝えられる。被害が最も大きかったのは山岳地帯にあるカイバル・パクトゥンクワ州で、特にブネール地区では、山から流れ落ちた激流に集落全体が吞み込まれ、多くの住民が流されたり瓦礫の下に埋もれたりしてしまったという。ギルギット・バルティスタン州でも、鉄砲水や氷河湖(氷河が気温上昇によって融解してできた湖)の決壊などが起き、少なくとも12人が死亡している。また、同州では、救助活動中のヘリコプターが墜落して乗員5人が死亡した。
専門家は、気候変動により異常気象が頻度、深刻度ともに激化したこと、氷河湖の決壊が大規模に生じたことが大きな原因だとしているが、多くの家屋が河川の氾濫原に建てられていること、インフラの整備が不十分であること、更には警報システムが有効に機能しなかったことなども指摘されている。
2025年8月20日(水)
パキスタン 8月20日(水)、パキスタンではモンスーンの集中豪雨によって洪水が発生、北部のギルギット・バルティスタン州で11人が、南部の金融首都カラチで10人が、それぞれ死亡した(全国では少なくとも41人が死亡)。また、これらの地域では、道路や下水道などのインフラが正常に機能しなくなったほか、通信ネットワークや電話回線が寸断されるなど、市民生活が混乱した。
2025年8月20日(水)
ギニア 8月20日(水)夜、大雨により、ギニアの農村地域(首都コナクリから50キロ離れたコヤ県のマネア)で地滑りが発生して家屋が流され、少なくとも11人が死亡し、10人が重傷を負った。
2025年8月25日(月)~
インド 北部のパンジャブ州では、引き続く大雨と洪水によって少なくとも52人が死亡し、40万人以上が影響を受けた。同州は穀倉地帯として知られているが、洪水は約14万8,000ヘクタール(ほぼロンドンとニューヨーク市を合わせた面積)の農地を呑み込み、農作物は壊滅的な打撃を被った。
26日(火)には、インドが支配するカシミール地域のジャム・カシミールで大規模な地滑りなどが発生し、少なくとも41人が死亡した。被害者の多くは、ヒンズー教の著名な寺院までの巡礼ルートを徒歩でたどっていた人たちだったという。
2025年8月25日(月)~
パキスタン 8月25日(月)以降、パキスタン東部のパンジャブ州で河川が広範囲にわたって氾濫して低地に流れ込み、観測史上最悪の洪水に見舞われた。この洪水により、43人が死亡したほか、200万人以上が避難を余儀なくされたと伝えられている。また、パンジャブ州はパキスタンの農業の中心地であり、小麦の主要な生産地として知られているが、この洪水により、広範囲にわたって農地や集落が浸水した。
これは、モンスーンによる記録的な大雨が数週間続いたほか、サトレジ川、チェナブ川、ラヴィ川など同州を流れる河川の上流にある隣国インドのダムから、大量の水が放水されたことによるものである。
また、9月に入り、パンジャブ州では、20人の避難民を乗せた救助船が、増水したインダス川で強風と急流によりバランスを崩して転覆し、9人が死亡するという事故も起きている。
2025年8月31日(日)
スーダン 8月31日(日)、アフリカ・スーダン西部のダルフール地域で大規模な地滑りが発生し、現地を支配している武装集団スーダン解放運動/軍(SLM/A)は「1,000人以上が死亡したとみられる」と発表した。なお、国連のスーダン人道調整官は、「370人が死亡した」としているが、一方で「この地域へのアクセスが非常に困難であるため、事件の規模や正確な死者数を評価するのは難しい」としている。
SPLM/Aによると、地滑りに襲われたのは、標高3,000メートルのマッラ山脈の中腹部にあり、徒歩かロバでしか行き着けないとされるタラシン村で、住民ほぼ全員が死亡したという。住民の多くは、スーダン軍と民兵組織である迅速支援部隊(RSF)との戦争により家を追われた後、マッラ山脈地域に避難していた。
スーダンの激しい内戦は現在3年目に突入しており、世界最悪規模の人道危機に直面している。地滑りが発生した地域を含むダルフールの大部分も戦闘が続いているため、国際援助機関がほとんどアクセスできず、緊急の人道支援も困難を極めている。
2025年8月31日(日)
アフガニスタン 8月31日(日)夜、アフガニスタン東部でマグニチュード(M)6.0の地震があった。震源地は、東部ナンガルハル州の州都ジャララバードから27キロメートルの地点。震源の深さは比較的浅い8キロメートル。また、周辺ではその後も最大M5.2の地震が続いた。
国連人道問題調整事務所は、「9月5日現在、この地震により2,205人が死亡、3,604人が負傷、約6,700棟の家屋が損壊し、少なくとも50万人が被災した」と伝えている。ただし、タリバン政府では、死傷者の数値はクナール州のみのもの(家屋の損壊は約5,400棟としている)で、隣接するナンガルハル州で12人が死亡、255人が負傷し、ラグマン州では58人が負傷したとしている。
アフガニスタンは、インドプレートとユーラシアプレートがぶつかる断層の上に位置しているため、地震が非常に起こりやすいとされる。特に、被災地域はパキスタンに隣接する山岳地帯にあり、急峻な地形に単純な泥や日干しれんがなどで造られた耐震性が低い民家の多くが倒壊した。加えて、最近発生した地滑りや洪水のために道路も寸断されて多くの集落が孤立、救助活動は難航しており、タリバン政府はヘリコプターの着陸も困難な場所にコマンド部隊をパラシュート降下させて、負傷者の救出に当たるなどした。
アフガニスタンでは、タリバンによる支配が続く中、国外に撤退したNGOなども多く、十分な支援が行き届かない可能性があり、更なる被害の拡大が懸念されている。
2025年9月8日(火)~
インドネシア 9月8日(月)からの集中豪雨により、バリ島と小スンダ列島に位置する東ヌサトゥンガラ州とで洪水や地滑りが発生し、両州合わせて少なくとも21人が死亡、4人が行方不明となった。16名が死亡したバリ島では、十数か所で土石流が発生、また、川の氾濫や堤防の決壊により少なくとも120の地区が水没し、住宅地や観光地で多くの家屋が浸水したほか、道路や橋梁も損傷した。東ヌサトゥンガラ州でも洪水と地滑りが発生して5人が死亡、公共施設や橋梁、岩、プランテーション、水田にも大きな被害をもたらした。
2025年9月23日(火)
台湾 9月23日(火)、台湾東部の花蓮県で台風18号がもたらした大雨の影響でせき止め湖が決壊して下流の市街地(とりわけ花蓮市から南西に約40キロの光復郷)などを襲い、26日現在、15人が死亡し、8人が行方不明になっているほか、他の地域を含めると負傷者は101人に上った。亡くなった人の多くは高齢者で、大半が住宅の1階で見つかっており、自力での避難が困難であったと見られている。
花蓮県の山間部では、2024年の地震で地盤が緩んでいたところに今年7月の台風で土砂崩れが発生し、水がせき止められて馬太鞍渓に湖が形成され、約9,100万トンの水がたまっていたとみられるとのことで、今回この「せき止め湖」が崩れて水があふれ出し、複数の橋が流されたほか、堤防が決壊して下流の市街地に大量の水が流れ込み、多くの建物が浸水、また、停電、断水などの被害も出た。当局では、光復郷などの住民を避難させるよう促したとしているが、「十分に周知されなかった可能性がある」との指摘もなされている。
2029年9月28日(日)
フィリピン 9月28日(日)、フィリピンでは、他の熱帯低気圧と南西モンスーンが相まって、非常に激しい降雨、洪水、地滑りが発生し、27人が死亡、16人が行方不明、33人が負傷し、約19万人が避難し、約342万人が被災した。
2025年9月29日(月)
ベトナム 9月29日(月)未明、台風20号がベトナムに上陸し、首都ハノイを含むベトナム北部から中部にかけた各地で暴風雨に伴う洪水や地滑り、高波などによる被害が相次いだ。現地メディアによると、10月3日現在、51人が死亡し、14人が行方不明になっている。北部ニンビン省では竜巻が発生し、多くの家屋が損壊したほか、多数の電柱が倒壊。また、中部ハティン省では大規模な停電が発生して50万世帯が影響を受けた。また、水田など約1,400ヘクタールが冠水し、一部地域では道路が寸断、山岳地帯の一部では集落が孤立しているという。
タイでも、7人が死亡、約10万人が避難し、約27万人が被災したと報告されている。
2025年9月30日(火)
フィリピン 9月30日(火)午後10時(日本時間午後11時)ごろ、フィリピン中部でマグニチュード6.9の地震が発生した。震源地はレイテ島のパロンポン西部沖、震源の深さは約10キロだった。当局は、震源地に近いセブ島北部ボゴを中心に72人が死亡、559人以上が負傷、155,094世帯、547,394人が被災したとしている(10月6日現在)。この地震で、スポーツ競技場や教会が倒壊、道路や橋に亀裂が入り、ショッピングモールでは火災も発生した。
余震も続いており、米地質調査所(USGS)によると、この地震では、粗悪な構造物や設計に不備がある構造物はもちろん、ある程度造りがしっかりした普通の構造物でも軽度から中程度の被害が出た可能性があるとしている。


(注)取り上げた自然災害は、災害の態様ごとに一定の死者数を目安としているが、各災害の被害状況については、途中経
   過的なものも含まれており、最終確定結果ではないことにご留意願いたい。